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そうした日常を過ごしていた十四のある日。
いつものように家を追い出され、村から離れた森の中で夜を過ごそうと焚き火を起こして暫く見ていた。
そして俺はふと考える。
「何故、他の皆は幸せに暮らしてるのに俺だけ…………」
その事が昔から頭に残っていた。
「もしかしたら、俺は要らない存在なのか。
そうならそうと早く言ってくれれば良かったのに、なんならこのまま誰も居ない所で息を引き取ろうか…………」
考えながら眼を閉じる。
すると、近くから人の気配を感じて自然に眼を開ける。
そこにいたのは………まだ小さな子供の頃の縒癒だった。
縒癒は俺にとって妹みたいな存在で、俺が外を歩いてるとヒヨコのようについてくる。
俺は縒癒の手をそっと握る。
「縒癒、どうした?
何故こんな所に居る?」
縒癒が泣きながら小さな声で答える。
「お兄ちゃん………お父さんとお母さんにはぐれて………迷子になっちゃった…………」
「全く………家へ連れて行ってやる、ついて来い。」
「うん!!」
俺は縒癒を送った後、仕方なく家に帰る。
案の定、父は家に居なかった。
俺が十歳を過ぎたら、あまり家に帰ってこなくなった。
家に居たとして、恐れの対象になるのは変わりなかったが。そしてこの日は布団をひいて寝た。
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