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「てか、話し聞いてる?」
翔は後ろの席の机に頬杖をつき、その席に座る少女に話しかけた。
彼女は無言のまま本を読んでいる。
緑の黒髪は長いストレート。それには似合わない眼鏡。
彼女の名は日向 真酉(ひなた まとり)。
この真酉こそが翔の人生観を変えた張本人。
「自業自得。」
真酉は本に目をやったままそう答えた。
プニ…
「聞いてんならもっと反応しろよ?」
翔は真酉の頬をつねり呆れた風に言った。
「ヤダ。めんどい。」
真酉は短く淡々と答えた。
視線はやっぱり本に向けられている。
翔は摘まんでいた真酉の頬から手を放すと性懲りもなくまた話し始めた。
「てか、お前3組のユゲヤンって知ってる?あ、ユゲヤンっつーのはアダ名なんだけど……。」
翔はニカニカと笑い時折ジェスチャーを加えながら喋り続ける。
真酉は時折気のない相槌を入れながらもやっぱり本を読んでいる。
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