目覚め

4/6
前へ
/33ページ
次へ
『マリオネット』 それは私の名前じゃ無い。 第一、常識を逸脱してるのはそっちじゃない。 そう言いたかった。 でも――言えなかった。 また叩かれるのが怖かったから。 それ以上に――私を睨んでいる闇を秘めた瞳が怖かったから。 「ごめんなさい」 私は謝った。 この言葉は私の口癖となっていた。 この一言を言えば、大抵、そこまで酷い目に遭わずに済むから。 自分が悪くなくても謝れば、相手が優越感を持って、手加減してくれるのを知っているから。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89371人が本棚に入れています
本棚に追加