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「『ごめんなさい』?御主人様に使うには分相応ではない言葉だと思うんだが」
「……すみません」
私は言い直した。
堪えろ。
怒っては駄目。
この館の出口すらわからない状態でこの男に喧嘩を売ってもどうしようもならない。
私は腕力も無いし、足も遅いし――肉体的にこの男に勝つ要素が無いんだから。
「まあ良い。これから僕は仕事に行ってくるから」
……仕事してるんだ。
親の遺産で暮らしてる道楽息子かと思ってた。
「大人しくしてるんだよ?館の中なら自由に歩いて良いけど。……一部屋を除いて、ね」
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