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「たろう!いつまで寝てんだい!!ほらっ!早く起きなさい!」
そんないつも通りの母の声が、きしむ階段の音に混じって聞こえてくる。
自分では若いつもりなのだろうが、やっぱり、その擦れた声は年相応だ。
「ほらぁ、いつまで寝てんの!さっさと起きなさい」
築12年、二階建の、決して新しくはない家の中、毎朝同じように、その声は響く。親父は、だいぶ前から、俺たちとは離れた所で暮らしている。別に、母親と仲が悪いわけじゃない。まぁ、原因は俺だろう。
「なんだよ……またかよ……。こんな時間に起こすなよ……」
折畳みの携帯電話を開き、時間を確認してから、また、煙草臭い枕に顔を沈めた。
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