第1章 幸せの約束 1

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寝室を出てみると、リビングの電気は消えている。が、匠がL字型のダークブラウン色のソファーの角に座って、ノートパソコンを打っている背中を見つけた。あたしは眉と息をひそめながら、匠の後ろからディスプレイを覗き込むと、 「メール?誰から??」 と訊ねると、匠は素早くディスプレイを閉じて振り向いてあたしを見上げた。 「お、起きてたのか、瑠生」 とひきつった笑顔で匠が言うと、あたしは目を細めて匠を見つめた。 「……なんか怪しい。今、それ隠したね?」 「隠してないよ」 「…まさか、また系斗(ケイト)から、厄介な仕事の依頼、来たんじゃ?」 「……まさか。はは」 匠は笑いながら立ち上がりパソコンを抱えて寝室に向かおうとすると、あたしは眉をしかめながら匠の腕を掴んで引き止めた。
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