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「でもなーそのペット、哭雲会会長のモノなんだって」
「はぁ?哭雲会っつったら関東一帯の組を取り仕切る巨大組織じゃないか?!なんでそんな仕事・・・・・・っ!!」
「しらねーよ。ま、とにかく頼んだぜ?」
「ちょ・・・待て!!」
「お前がやらなきゃ俺の首が飛ぶ、お前は友達を見捨てねーよな?」
そんな事を言われたら黙るしかなかった・・・。
「ここか・・・?」
裕二は廃れた裏道にあるコインロッカーの前に立っていた。
あたりには妙な空気が立ち込める。数十メートルも歩けば大通りにでるというのに、ここだけ切り離された空間のようだ。
「ぇえっと・・・009か」
009と書かれたロッカーキーを一番大きい扉に差し込む。
中のものが視界に入った瞬間裕二は息をのんだ。
ロッカーの中に入っていたペットは-------人間だった。
「う、うそだろう?」
裕二は恐る恐るその窮屈そうに身体を折り曲げている人間に手を伸ばす。
「お、おい。あんた大丈夫なのか?」
「・・・・・・」
その人間は近づいてきた手に反応するかのように目を開いた。
焦点がなかなか合わない、相当長い時間この中にいたのだろうか・・・。
「・・・う・・・」
「え?何・・・」
「・・・まえ・・・おま、え。だ・・・れだ?」
「えーと・・・友達のバイトの代理の裕二」
「ば・・・いと、?」
声は意外とハスキーだななんて思いながら華奢な身体を見る。
ペットというのは、やはりそういう“ペット”なのだろう。
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