奇襲

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 指に目を向けると赤い線が付着し、湿り気を帯びている。 「まさかな……」  俺は人差し指と親指でそれをこすり、匂いを嗅いだ。  鉄の匂い。  間違いない……  これは血だ。  俺は眉間にシワを寄せながら思考回路を働かせる。 「おかしい、よけたはずなのに」  考えられるのは風圧。だが、風圧だけで物が切れるのか?  仮にそうだとして、そんな威力のあるものを喰らったらひとたまりもないじゃないか。  思い出しただけで恐怖心が湧き上がり、俺の体は震えていた。
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