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「暇だ、、、」
今日は金曜日だというのに店は閑散としている。
さっきから若い男女が騒がしいこと以外は平和な店内。
特にすることもない。
「あのさ~東ぁ~、、、」
申し訳なさそうに声をかけて来たのは店長だった。
予想はついている。
「悪いんだけど、、、今日上がってくれないかなぁ?」
やっぱり。
『居酒屋』という形態上夜中まで働ける『フリーター』の方が優先される。
10時までの『高校生』には早々と退場願うのが妥当な決断だろう。
そういった意味では店長は『敏腕』なのかも知れない。
俺は「いいっすよ」と笑顔を返し、休憩室に向かう。
そこには『千里』さんがいた。
休憩かな?
「あっ、お疲れ様ぁ~」
俺を見て席を空けようとする。
そんな『千里』さんに、俺はなるだけ抑揚のないように「大丈夫ですよ」とだけ答えて更衣室に向かおうとした。
「東くん!明日ガッコ休みよね?」
今かなりドキッとした。
正直焦ってる。
だけど、なるべく静かに答えよう。
「そうですよ。土曜なんで」
よし、言えた。
我ながらクールだ。
「飲みに行こうよ?」
俺の脈拍は確実に早くなっている。
心臓の音、聞こえてるんじゃねーのか?
「いきましょーか」
今度は少し声が上擦っていたかも知れない。
しかし、断るなんて出来ない。
少しでも『千里』さんに近付きたいから、、、。
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