第9章

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  手のぬくもりに 涙が溢れてきた   圭介は 昇降口とは逆の方向に 廊下を歩き出した   『‥‥圭介?  どこ行くの?』   涙声で聞く   『‥‥‥保健室』   そっけなく答えられた   でも 言葉のはしに優しさを感じた     『‥‥圭介』   『 ん? 』     『保健室はいい。    ‥‥早く‥‥  家に帰りたい‥‥』   あたしの言葉を聞くと 圭介は振り返って ポロポロ涙をこぼすあたしを見た     『‥‥わかった。  早く帰ろう』   優しく言って あたしの涙を拭うと   圭介はまた あたしの手を引いて歩き出した    
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