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「駄目だよ、無理に引っ張っちゃ」
優しい声で諫められて
私は顔を上げる。
「これって一体…」
「まず、移動しようか」
ニッコリ笑って、黒髪の男の人は言った。
「俺の名前は、劉(リュウ)。で、こっちの金髪の奴が…。っと、命令してくれない?」
「え?」
言いかけて、悪戯に笑いながら言われる。
「指輪を触りながら《自己紹介しろ》ってね」
落ち着いた様子の金髪の男の人を軽く目線で示す。
「えっと、《自己紹介して》ください」
どぎまぎしながら、指輪に触れてそう言った。
すると、
まるで言い慣れた台詞のような言葉が、私に向けられた。
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