†御伽話†

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「吸血鬼(バンパイア)壱と申します。貴女の生き血と引き換えに私の命を、自由を、差し出しましょう。マイ ロード《御主人》」 私の前に跪(ヒザマズ)き 私の手を取る、壱。 硬直してしまう私。 どうすればいいのかと ドギマギしていると 「ゔぇぇえ゙気色悪…」 さっきまでキラキラ輝いていたのとは打って変わって、急に舌を出して私から離れる壱。 「コラ、壱」 「けっ」 ブスッとした膨れ面で、眼を反らす壱。 「あの…」 私は訳が分からず、 黒髪の男の人に目で説明を促す。 「ああ、ごめんなさい。色々…一から説明しますね」 やんわり笑ったと思えば、 私は不思議な感覚に包まれた。 ジェットコースターに乗っているような…浮遊感。 そう、『浮遊感』 「いやあああ?!」 私は地に足をつけては居なかった。 どんどん上昇してゆくのを感じながら、私は気が遠くなるのを感じた。 .
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