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静かな夜。
屋根の上に壱と二人で取り残されてしまった私は、沈黙に耐えきれず、口を開いた。
「17年しか生きてないって、どう言うこと?どうして血を飲まず、生きて来れたの?」
マシンガンのような矢継ぎ早の質問に、少し壱が眉をひそめた。
「…俺が半分人間だからだよ」
しかし面倒臭そうに、貶すかのように壱は答えてくれた。
「俺みたいな吸血鬼は20才になるまでは、人間と同じ時間を生きる」
半分人間だから。
「だけど、20才になってまだ、《犠牲者》を見つけられず、完全な吸血鬼になれなけりゃ……」
「……なれなきゃ、何?」
恐る恐る、黙っている壱に聞く。
銀の瞳の中にくっきりと私の顔が写る。
「……命令して、言わせてみれば?」
挑戦的かつ、生飽きな態度に、苛立ちを覚えたが、ここはグッと堪えた。
「しないよ。…命令、しない」
その言葉にいぶかしげに壱が首を傾げる。
「何で」
その目は純粋に
答えを待つ子供のようなものだった。
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