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『助けてくれる…』
母の言葉を思い出し、
私は思わず指輪を包み込むよに
拳を握った。
━━じゃぁ、助けてよ。
ねぇ、誰か。
独りは嫌だ。
誰か…
「《助けて》よ…っ!」
涙が畳に落ちるのとほぼ同時に
とてつもない爆音を伴い、屋根が突き抜けた。
爆風から、涙が明後日の方へと流されてゆく。
「なっ?!」
慌てて振り替えると、埃の中に、1人の男のシルエットがあった。
「チッ…!呼んだか?」
「呼んでマセン」
涙も止まるってもんだ。
「呼んだんだろーが!」
本気で呼んでないしっ!
てか決めつけて
逆ギレされても!
雲が退き、満月がその男を照らす。
金髪の透き通る髪に
綺麗な、惹き付けられる銀色の眼。
私は魅入りながら、
生唾を飲み込み、言葉を押し出す。
「えっと…私は貴方に《来い》何て一言も……」
何かに引っぱられるかのように、私の直ぐ傍までくる男の人。
「だから、今言っただろうが!」
「??」
もう、何が何だか訳分からない。
私は男から数歩ゆっくり退く。
何がしたいんだこの人は…。
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