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「ふぁ~あ~」
登校中に大欠伸をしているのは神崎 迅。ぼさぼさ頭のめんどくさがり屋、ルックスはまあ普通。勉強、スポーツは中の下。本人曰く本気をだせばまだまだ上を目指せるらしいが…今まで本気を見た者は誰もいない。
「また遅くまで起きていたの?」
彼の右側を歩きながら聞いてきた女の子は木崎 桜。迅の幼馴染みである。見た目は髪が長く綺麗というよりは可愛いという感じの面倒見の良さそうな子で、勉強、スポーツはいつも上位のいわゆる優等生と言った感じの女の子である。
「どうせまた遅くまでエロサイトでも見てたんじゃないの?」
彼の左側を歩きながら笑って言ってくるのは木崎 楓。桜の双子の姉であり迅のもう一人の幼馴染みである。彼女は桜より少し大人びてみえ髪はセミロング、活発な雰囲気ある女の子。趣味は迅をけなす事である。
「んなわけあるかよ、ちょっと本読んでたらいつの間にかに朝方だったんだよ。」
「大丈夫?いつも寝不足だと迅君体壊しちゃうよ?それに授業中寝てるでしょ。そんな事だから成績上がんないんだよ。」
楓の言葉にしかめっ面で言いかえした迅に桜は迅の体の心配しつつ、母親みたいな口調で言うのであった。
「そんなに言われなくてもわかってるって」
「ほんとに?そう言って何回聞いてくれた事あるかな?」
「う…」
うざったそうに桜に答えた迅だがジッと見つめられながら聞き返されて言葉に詰まってしまった。
「まあ確かに何回かはあるよね。一年間で台風が日本に上陸する回数ぐらいはね。」
「…ごめんなさい。」
桜にジッと見つめられたまま冷たい口調で言われて迅は反射的に謝っていた。迅は小さい頃から桜には頭が上がらないのである。そんな迅をみた楓は、
「やぁ~い怒られてやんの~」
「楓ちゃんも人の事言えた義理じゃないでしょ?」
「えっと…ごめんなさい。」
迅が怒られているのを幸いににからかおうとしたが、桜から思わぬ反撃をうけ楓も謝ってしまった。楓も迅同様に桜には頭が上がらないのである。
「まあ二人ともわかればよし。早くしないと学校遅れちゃうよ。」
二人の反応に対して悪戯っぽい笑顔で桜はいい、駆け出すのであった。
「あっ、おい待てよ。」
「あ~桜ちゃんだけずるい~」
桜の後を慌てて追う二人であった。
小さい頃からいつもこんな日がずっと続いていた。
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