新しい季節

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キーンコーンカーンコーン… 校内に予鈴のベルが鳴り響いた。 「う~、だり~、これから放課後までが長い…」 ここニ年二組の教室でぼさぼさ頭の一人の少年が机に突っ伏しながらぼやいていた。その原因は始業式の校長の長い話と、その後のクラス替えにあった。この学校では始業式の後に新しいクラスが発表されるのだ。しかも新しいクラスには… 「はいはい、もっとシャキッとしなさいよね~」 「あ~?」 迅は頭だけを動かし声を掛けて来た人物を見た。 「あ~」 やっぱりかと言うべき人物が立って居た。その名は木崎 楓。迅の幼い頃からの腐れ縁の女の子だ。そう彼女がクラスメイト。 「あ~あ~言ってないで普通に座りなよ、でないと大変…」 と楓が言い掛けた時にに、勢いよくかけて来た人物に途中で遮られる事に、 「どうしたの!?迅君調子悪いの!?」 楓の言葉を遮ったのは双子の妹である桜である。楓は遅かったか~と手を額にあてて嘆いていた。 「やっぱり朝からちょっと眠そうだったみたいだし大丈夫?保健室行く?」 怒濤の様に自分に質問している桜に対して迅は後悔していた。そう桜は昔からそうだった、自分の事より迅の事を優先し、世話をやいていたしはましだろうと甘く見ていた迅は早速考えを改める事になった。ちなみに桜もクラスメイトだ。 「別に何でもないからそう心配するな、てかそうやって俺に構うなよ。」 溜め息混じりにぶっきらぼうに答えた。 「でもでも、ほんとに大丈夫?」 「あ~全然問題ない」 それでもまだ聞いてあくる桜に対しそっけなく返事を返して、チラチラ周りをうかがってみた。桜は見た目がかなり可愛い為周りから注目されやすい、一年生の頃も人気があり結構告白されてると聞いたが全て断っているみたいだ。だから自分に異様に心配してる所を見られると後々クラスの男子達からなんて言われるか…だからあんまり構わないでほしい。 「だから注意しようとしたのに~」 屈みながら耳元で楓がおかしそうに言ったのに対し迅は苦虫を噛み潰した様な表情をしていた。ちなみに双子の姉である楓も桜に劣らずの容姿である為こちらも結構人目を集めやすい。
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