始まりは、

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「……いや、ちょっと待て。しかもアンタが勝手にぶつかって来たんじゃん? よく考えて下さいこの状況」 ああああ! やってしまったつい癖が! どうもアタシは喧嘩を売られやすい人らしく、買わなかった喧嘩なんてない でも目の前にいる奴は馬鹿なのかどうかわからないが、アタシの言った事をまるで理解していないような発言をした 「いやいや、それをお前が受け止めてこそ、運命の出会いってヤツじゃん?」 ていうか意図的にぶつかってきたんですかコイツは! なんて、思わず突っ込みを入れようとした所、視界に自分の腕時計が入った 「……………あ」 そしてふと、時間がない事を思い出す ああ! こんな事やってる場合じゃないのに! 「やっば……遅れる」 更に時計を盗み見る ……集合時間まであと1分 うん、無理だ! 入学早々遅刻デスよアタシ…… むしろ諦めろ自分! 「大丈夫! 俺も遅れる!」 「いや大丈夫じゃないし……」 入学早々遅刻ですよ? 先生にマークされる事間違いナシですよ? わかってますかこの状況 ……うっわー、やったね!!! ってなぐらい絶望的なんだよ! 「……じゃ、走んべ」 ……………………え? 今なんて言いま―――― 「……ってちょっと!」 突然走り出したソイツに、思わずアタシも走ってついていく ちくしょー……か弱い乙女を走らせんな とか思いつつも、つい走ってしまう自分がいる事に後から気付いた そう、こうして私の運命の出会いは 意図的に作られた
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