鍵の発見

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 僕は、山崎薫。これから話す事は、僕が主人公の話。  夏休みのある日。  高校生活が始まってほぼ半年、僕は珍しく自分の部屋の片付けでもしようかと思った。  机の引き出しを全て開け、中身を出そうとした時、何か固い物が手に触れた。  それは、小さな鍵だった。 「なんだこれ…?」  見ると、メモが繋がっている。 『たいむかぷせるのかぎ ななさい 21 15 93 55 81 54 13 91』  たいむかぷせる? …タイムカプセルか。懐かしいー。するか、タイムカプセル探し。よし、そうと決まれば。  部屋の片付けをほったらかし、夏のミステリーが始まった。  朝。僕は、幼なじみに招集をかけた。高校が全員別々になって、しばらく会う事がなくなった僕達だけど、依然として仲がいい。  時間ぴったりに僕の家に来たのは、駒井亜美。僕達3人組の唯一の女子。冷静な性格だけど、本晃弘。  遅刻の常習犯。ムードメーカーで、おちゃらけていて、面倒くさがり屋で、単純な奴。手短に言えば、馬鹿。 「遅ぇよ!」  晃弘に向かって叫ぶ。僕達は、こいつをヒロと呼んでいる。 亜美から怒りのオーラが出ているのは、気にしない事にしよう。 「ヒロ、これで遅刻何回目だと思っているの?」 「まぁまぁ、その辺は後にして。薫、なんで俺と亜美を呼んだんだ?」  走って来るなり、見事に亜美をスルーしてヒロが聞く。後でヒロがどうなったのかは、知らない。  僕は、ズボンのポケットからあの鍵を取り出す。 「ちょっと聞くけどと、 「うわ、汚い字だな~。俺にわかるように書けよ」  早速ヒロがダメ出しをする。  でも、この3人の中で一番字が下手なのは、ヒロ。それは、今も昔も変わっていない。僕達も読みづらい字を書くヒロは、昔の自分にダメ出しをしてしまった。  そっとため息をついたら、亜美も苦笑いをしていた。 「で、どういう事だ?」  きょとんとした顔でヒロが聞く。 「…ヒロ、紙ちゃんと読んだの?」  亜美が呆れて言う。 「いや、読めないからさ」  諦めが早い。 「とにかく、これはタイムカプセルの鍵なんだよ。だから、一緒に探そう」  
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