第四章

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はっと気付いた時、ソレとの距離が随分と開いていた。 彼はソレを追い掛ける。 国境を越え、幾分か足場が悪くなってきた道を必死で進む。 木の枝で肌を切ろうと構わず、前を行くくすんだシルバーを見失わぬよう、進んでいく。 「師匠……待って………!」 「………」 何をそんなに急ぐのか、ソレの歩みは早い。 特に国境を越えた辺りから、速度が上がっている。 悪路に慣れていない彼が着いて行くのが困難な程。 「師匠!」 もう一度呼ばれた時、ソレは漸く歩みを緩めた。 そして振り返り、無言で彼が追い付くのを待った。 相変わらず、真紅の双貌からは感情が読み取れない。 ソレが歩みを止めてすぐに、彼が追い付いた。
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