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彼がソレの側で肩を上下させ、荒い呼吸を整えている間、ソレは周囲を警戒していた。
ここの魔獣が如何に鈍重であっても、囲まれてしまうと分が悪い。
未熟な者をかばって戦うとなると、尚更に。
故にソレは常に周囲に気を払っていた。
(かなり注意して進んできた筈だがな………)
背後に数頭、左に一頭、存在を確認した。
しかもじりじりと、確実に距離を詰めて来ている。
(久々に、こいつを抜く事になるか)
「……師匠?そんなに怖い顔して、何かあったのか?」
「魔獣共が来ている」
「!」
真紅の双貌が木々の合間を見詰める。
射抜く様な、見透かす様な、そんな眼だ。
彼は背筋にぞくりと、何かを感じた。
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