第四章

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彼がソレの側で肩を上下させ、荒い呼吸を整えている間、ソレは周囲を警戒していた。 ここの魔獣が如何に鈍重であっても、囲まれてしまうと分が悪い。 未熟な者をかばって戦うとなると、尚更に。 故にソレは常に周囲に気を払っていた。 (かなり注意して進んできた筈だがな………) 背後に数頭、左に一頭、存在を確認した。 しかもじりじりと、確実に距離を詰めて来ている。 (久々に、こいつを抜く事になるか) 「……師匠?そんなに怖い顔して、何かあったのか?」 「魔獣共が来ている」 「!」 真紅の双貌が木々の合間を見詰める。 射抜く様な、見透かす様な、そんな眼だ。 彼は背筋にぞくりと、何かを感じた。
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