人を見た目で判断するな

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只今時刻十九時十二分。  殺されるかもしれない危機的状況に、隣のクラスの憎き山田が立たされていればいいのに、懇願虚しくオレが立たされている。  何故かと言うと、目の前にはナイフを持った同じクラスの女(名前は知らん)が立っている。  目なんて前髪で隠れて見えないし、体小さいし、胸ないし、暗い子にしか見えない。  しかし聞いて驚け、彼女はアウトドア用のふっといナイフ持つ実はアウトドア派の人なんだ!  現にオレにナイフを刺そうとした。  だから袖から肘までの制服が切れている。窓ガラスに映った彼女に気付いてなけば、グサッとこの世と別れていたな。   「マテマテマテ落ち着いて話し合おう! 話せば何かが変わるかもしれない!」    あまりにベタな台詞だが、一応言ってみる。  そもそも彼女に殺される理由すら分からないからな。  熱狂的なオレのファンならそう言え。サインでも手形でもやるから。   「オレが君になにをした? 悪いことをしてしまったなら謝る!」   対峙してから彼女は微動だにしない。 ハッキリ言おう、制服着たミニ貞子目の前にいやがる。 こんなことなら貞子シリーズ全部観とくべきだった。 どうしてビデオ屋で借りなかったんだ一週間前のオレ。   「……ふふ」    笑いやがった。何を基準に笑ったのか分かる奴がいたら電話くれ。今すぐだ!
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