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ポケットから大量のハムスターが出てきて驚いた。驚いた拍子に世界が一変、ハムスターが消えた代わりに天井が現れて夢だったと気付く。
あんなファンタジー溢れる夢の結末を観れないなんて、観続けてきたドラマの最終回を見逃すのと同じくらい悔しい。
夢には意味があると聞くが、ポケットから大量のハムスターが出てくる夢にどれだけ深い意味があるのだろうか。
売れなくなった芸人が今頃どうしているのかくらいの疑問だったが、それよりも全身がメチャクチャ痛い。
例えられないほどの痛みに、きっと顔はおばあちゃんみたいにシワシワになっているだろうが確認できない。
このままネバーランドに行ける気分にさせてくれる苦痛を味わうオレの横で規則的な呼吸音がする。またチビが潜りこんでるのだと思い首だけを横に向けたのが選択ミスだった。
首に激痛が走り、電気が流れるように全身から激痛の荒波に晒された。男だって泣きたいときはある。
しかも真横で寝ているのがチビじゃなく、伊織さんだった。正直今の状況がわからない。
ただ一つ、激痛と引き替えに可愛い顔を間近で見られてラッキーだ。
「ん……クマさん……」
女の子らしくクマさんの夢を見て寝言をもらす彼女がすごく普通に見えた。
「ん……それダメ……爆弾……」
夢だし色々と混じりあった夢を見ているらしい。
「……ヌガップリラリラァ~……」
ちょ、変な言語で喋ってるけど宇宙の母船と交信中ですか?
「……ハバネロ?」
え、いや何で疑問系でハバネロなのかを確認しているんだ?
「……イカリング!?」
メッチャ驚いてるけどどんな間違いだよ!
夢の住人達もビックリするだろ。なんて夢らしい夢を見ているんだ。
「ん……」
ゆっくりと目が開き、目があう。呆然と見合い、
「あっ……」
と間抜けな声を出して起き上がる。
「あっあっ……あーあ、おはよう」
意外と普通だった。
しかしオレは挨拶すら出来ぬ最悪のコンディション、今のオレにできるのは見る、考える、現実逃避の三つしかない。それ以外のことをすれば即地雷が爆発してしまう。
仕方なしにオレは一つの手段を考えた。いわゆるアイコンタクトた。直訳は目で交信になる。
しかし、これにはお互いを深く知り合っていなければならなく到底通じないと思うが淡い希望を託し試してみる。
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