第一章・―或る夜の依頼―

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 そして人間の精神、隆はそれを精神(ココロ)の欠片と呼んでいるが、とにかくそれを人間の体内から取り出し、相手の記憶を自在に操る事が出来る能力。  そんな三つの能力を、依頼人はおろか、周囲の人間に知られるのが怖かったのだ。  しかし能力を駆使した隆が、裏の世界での№1にのし上がれた事も、また事実だった。 「本当は、そんなものが欲しい訳じゃあないのに」  この若さで№1の座に居座り続ける事を、良しとしない同業者からも、命を狙われる日々が続いていた。  隆自身が好きで始めた訳でもない、この職業のせいで命を落としでもすれば、それこそ元も子もない。
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