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「今度は何だ」
裏の世界で女殺し屋がいる事は、そう珍しい事ではない。
それ以上女のペースに流されないように、女の言葉を一切無視して、用件を簡潔に告げる。
女はそれにも気分を害さずに、隆に向かって言う。
「坊や、そのフロッピーを返して頂けるかしら? それは私達にとって、とても大切なものなの」
「嫌だ、と言ったら」
ゆっくりとナイフを構えながら隆が言うと、女は指を自分の前に差し出して、低い声で笑う。
「そんなもので、私を倒せると思って? それとも坊や、貴方もゲームに参加したいのかしら」
「ゲーム……だと?」
「そう、ゲームよ。貴方はあそこのクズに言われた通り、娘を全力で護ってあげるの。それを私達が、邪魔をするのよ」
完全に状況を楽しんでいる風の女を見て、小さく舌打ちすると無言で女を睨んだ。
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