第二章・―闇に差し込む光―

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 そのためか、永平は事ある毎に隆を目の敵にしている。  実際にこれまで何度か、永平の手下共と交戦した事があり、時には死にかけた事もあったのだ。 「よりにもよって、こんな奴となんて……」  今日何度目かのため息を吐きながら、ディスプレイを睨む。  隆にとって、仕事に手出しをされるだけでも厄介なのに、自分から直接巻き込まれなければならないのだ。  自分の運命を、少しだけ呪った。  しかし後悔ばかりしても始まらないと、やがて隆の指は滑らかに動き、パスワードを入力する事に専念しだす。  隆自身、機械が得意な方ではないが。同業者の考えそうなパスワードなら、容易に想像する事出来る。
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