第一章・―或る夜の依頼―

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 男はますます狼狽えたが、辛うじて答える。 「あ、あぁ。それは、俺の名前だ」 「そうか」  相手はそう呟くと、一歩二歩と進み、街灯の下で立ち止まる。  すると顔を見た男の顔面が一瞬にして蒼白になる、相手はそのさまを見て、冷笑を浮かべた。 「死んでもらいたい」  相手はそれだけを言うと、何も無い筈の空間に一本の刀を創り出した。 「ひ……ひぃ!」  男はその時になって、ようやく自分の置かれている状況に気が付いた。  あり得ない光景を目の当たりにし腰を抜かしながらも、両手を必死に使って後ずさっていく。
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