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「例えば、何かモノが欲しいと言えば?」
「あぁ、何でもだ! お前が欲しいと言うものなら、何でも用意するよ」
暗殺者は男に冷ややかな一瞥をくれてやると、刀の柄に手をやる。
同時に、暗殺者は男の前に大きく一歩踏み出し、男を一閃した。
ゴトン、と男の胴体から落ちた首を見詰めながら暗殺者は呟いた。
「……俺は、お前の命が欲しいんだよ」
その体から鮮血を迸らせても尚、生きているかのように痙攣を繰り返しながら、男の胴体は地に倒れ込んだ。
その鮮血を一身に浴びながら、暗殺者は刀をまるで、そこには何も無かったかのように消し去る。
そして、無言のまま闇に溶け込むようにして、その場を立ち去った。
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