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一気に話終えた宗を見て、小沢君は言葉が出ないようだ。
「さすがだな。」
「いえ、教授の文献を読ませて頂いただけですから。」
涼しげな顔であっさりいいのける。
「…すごいですね。教授が、法樹さんを秘書にした理由が解りました。」
いや、本当の理由は違うのだが。
「…で、法樹君。俺のスケジュールだが。」
「教授!来て頂けるんですか?」
「行くよ?狸に会ってみたいし。…小沢君のお祖父さんのお墓参りしないと。」
「ありがとうございます!」
嬉しさのあまり飛び上がりそうだ。
「教授。大丈夫ですよ。多分今年も、参加なさると思いましたので、事前に開けておきました。」
さすがは、スーパー秘書。
「あの、法樹さんもいらっしゃいますよね?」
少し言いずらそうに小沢君が言った。
「そうだなぁ。行く事になるだろうな。」
連れて行かないと、俺の身が危ない。すると、小沢君は、満面の笑みを浮かべた。
「わかりました!お二人の新婚旅行のために、村で一番良いお宿を取りますね!」
…………………何?今何かとんでもない事を言われた気がしたが。
「ありがとうございます。部屋は、同じで構いませんから。」
「やっぱり!お二人はラブラブなんですね!お部屋は露天風呂付きのをご用意します!」
「なんの話だっっ!」
俺の叫びが部屋中をコダマした。
その十日後、伝説の村、白狸(びゃくり)村に下り立った。
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