第二章

6/6
1547人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
 一気に話終えた宗を見て、小沢君は言葉が出ないようだ。  「さすがだな。」  「いえ、教授の文献を読ませて頂いただけですから。」  涼しげな顔であっさりいいのける。  「…すごいですね。教授が、法樹さんを秘書にした理由が解りました。」  いや、本当の理由は違うのだが。  「…で、法樹君。俺のスケジュールだが。」  「教授!来て頂けるんですか?」  「行くよ?狸に会ってみたいし。…小沢君のお祖父さんのお墓参りしないと。」  「ありがとうございます!」  嬉しさのあまり飛び上がりそうだ。  「教授。大丈夫ですよ。多分今年も、参加なさると思いましたので、事前に開けておきました。」  さすがは、スーパー秘書。  「あの、法樹さんもいらっしゃいますよね?」  少し言いずらそうに小沢君が言った。  「そうだなぁ。行く事になるだろうな。」  連れて行かないと、俺の身が危ない。すると、小沢君は、満面の笑みを浮かべた。  「わかりました!お二人の新婚旅行のために、村で一番良いお宿を取りますね!」  …………………何?今何かとんでもない事を言われた気がしたが。  「ありがとうございます。部屋は、同じで構いませんから。」  「やっぱり!お二人はラブラブなんですね!お部屋は露天風呂付きのをご用意します!」  「なんの話だっっ!」  俺の叫びが部屋中をコダマした。  その十日後、伝説の村、白狸(びゃくり)村に下り立った。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!