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白狸村は、山間にある小さな村だ。名物は、景色と温泉。この時期は桜が満開になる。普通の桜なら、何処でも見る事ができるが…
「真っ白なんですね。」
さすがの秘書も驚いている。
「そ、狸が浄化してるからな」
小沢晴美君が、取ってくれた宿は、狸が祭られている社の近くだ。窓から滝が見え、その滝の周りを桜が埋めつくす。
「本当に、綺麗ですね。…教授?どうしました?」
「……お前が変な事を言うから、本当に部屋が一つじゃねぇかっ!」
部屋自体は広く、寝室は別にある。問題は…。
「大きなベッドですねぇ?二人で寝ても大丈夫そうですね。」
「言う事はそれだけか?宗っ。お前が余計な事を言うから、本気にしたじゃねえかっ!」
すると宗は、俺の耳元で囁いた。
「……え?」
その言葉に驚く。黙っていると、宗が俺の腕を取った。
「じゃあ、狸さんの御社にお参りしましょうか。その後、小沢さんのお祖父様のお墓参りに行きましょう。」
「…ああ。」
俺はそのまま腕を捉まれながら部屋を後にした。俺の聞き違いでなければ、宗はこう囁いた。
¨話を聞かれています。そのまま話を合わせて、部屋をでましょう¨
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