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「…つまり、簡単に説明すると、私にはそういった事は、一切感じないようなんですよ…聞いてますか?教授。」 「んあ?ひいれまふよ?」
「そんなに、慌てなくてもお弁当は逃げませんよ。」
くすくすと笑いながら、お茶を手渡してくれた。
「…ん。サンキュー。しかし、お前料理上手だなぁ。」
学生を医務室に届けたあと、¨とりあえず、ご飯でも食べながら、お話しましょう¨と言うので、了承したら、¨お口に合うかどうか不安ですが…。¨といって、取出したのが黒塗りの重箱。中身は、菜の花をそえたちらし寿司、季節のおかずがぎっちり詰まっていた。
「料理人にでもなれば良いのに。もったいない。」
「調理師免許はもってますよ?あと、栄養師も。」
「すごいな。…それで、何の話だった?」
実のところ、食べる事に夢中になりすぎて、話はぜんぜん聞いていなかった。すると、法樹君は少し呆れたような顔をしたが、では、もう一度。と言って話始めた。
「教授のその体質は、変わった形の一種の霊力だと思ってください。当然霊力となると、力が強い方には、効かなくなります。私は、教授より霊力が強いので、その老若男女を虜にする力が効かないんだと思います。…教授は、そういう力の存在を信じますか?」
今度は、真剣な眼差しで俺を見る。あれ?この顔は。
「法樹君。理事長の親戚?」
質問に答えるより先に、好奇心が口から先に出た。
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