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「……教授。老師のこの姿は仮の姿なんですよ。」
俺の心を見透かしたように、宗は言った。………仮の姿?
「そうじゃ。こんな可愛らしい姿で、台所に立てるわけがなかろう。」
「自分で可愛い言うなっ!……じゃあ、元は人型なのか?」
ニッと狸が笑った。
「当たり前じゃ。言うておくが、ワシはかなり年上じゃぞ。何せ、坊を育てたのはワシじゃからな。」
「………あれ?さっき天界の神を育ててるのは、永地帝炎月って…。」
「さっきワシが言った通り、炎月は多忙での。最初は小僧を含めた、数人の天界の神を育てていたが、何せご飯を作っている暇も無い時があって¨愛情をそそげないなら、永地帝を辞める!¨と言いだしてな。周囲が焦って、神を育てられる人物を探してワシに白羽の矢を立てたんじゃ。」
……良い奴だな?永地帝炎月。俺はそんな良い奴に育てられたんだ。ん?ちょっと待てよ?じゃあ狸って……?
「ひょっとして、狸、偉いのか?」
狸を持ち挙げて、俺の膝の上に座らせる。
「そんなに偉くはないぞ?」
狸は俺を見上げながら言った。
「老師。御冗談は止めてください。」
宗は苦笑いをする。
「教授。老師は天界で三帝の次に偉い方なんですよ。三帝に何かあった場合、老師が代行者になりますから。」
「へーえ。……って!なんでそんな偉い奴が、コッチの世界にいるんだよっ!!」
ぺしぺしと狸の頭を俺は叩いた。すると狸は頭を下げて、悲しそうに語りはじめた。
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