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第八章
¨それで、そのまま気絶中なのか?薬嗣は。¨
携帯を通しても解るぐらいに、楽しそうに永地帝 炎月は言った。
「はい。疲労も重なってぐっすりです。」
¨ははっ。まあ、今日一日ゆっくり寝かせてやるんだな。……起きたら又、驚く事になる。¨
笑いを引っ込めて炎月は言った。
¨宗。お前、か…じゃなく、天狗(てんこう)に怒られたろ?¨
「はい…。数百年ぶりでした。」
¨まあ、たまには良いだろ?処で、近くに天狗がいたら代わってくれ。¨
老師。と呼ぶと、ぽてぽてと面倒くさそうに、携帯を代わった。
¨なんじゃい。ワシャ眠いんじゃ。¨
宗は感心した。三帝にあんな言葉使いが出来るのは、天界でも数人しか居ない。
¨……お前な、俺は一応お前の事、心配していたんだぞ?五百年近く、連絡寄越さないってどういう事だ!理由を言えっ!
「理由か?……面倒くさかったから。じゃあな。炎さん。」
ぶちっ。と携帯を切る。
「良いんですか?老師。」
「良いんだよ。身内だし。」
いつもと違う口調で、狸が喋り続けた。
「それに、だらだら喋り続けたら、三帝が俺の様子見にくるぞ?良いのか?」
「良くありません。」
三帝の狸への溺愛っぷりを長年見てきている宗は、きっぱりと答えた。
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