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「あのな。小僧。しがみ付いたのはお前の方じゃぞ。」
呑気に茶を啜りながら、狸が言った。
「……っ!だからっ……てっ……!…この野郎っ!避けるなっ!!」
「避けますよ。教授、あなた、有段者でしょ?」
涼しい顔で、俺の蹴をさけながら、宗は言った。
「よく言うなっっ?!俺より強い癖にっ!!」
今度は右のストレートを繰り出す!……が、顔に当たる寸前に腕を掴まれる。
「…あなたより強くても、私が大切な人に、手を出せると思いますか?」
腕を掴み、そのまま、手の甲に口付けをされた。
「ぎゃあっっっ!!!やめんかい!!この色惚け腹黒陰険眼鏡秘書っっ!!!」
全身鳥肌が立つ。
「第一、俺の嫌がる事、絶対したくないって、いったろっ?!」
「ええ。でも、私と教授の関係ばれてしまいましたし、このぐらい挨拶程度ですよ。」
ぶちっ。……俺の中で何かが切れた。
「……ほおー。挨拶程度ねえ。」
「小僧?」
「いいか?宗。……挨拶ってのは……こうするんだよっっ!!」
宗に近づいて、俺は唇を重ねた。そして、良く映画とかで、外国のにーちゃんとねーちゃんがやっているような、物凄い濃厚なキスをする。
「ありゃ……。」
狸の間抜けな声が聞こえる。何か、かたんという音が聞こえたが構うものか。長い間重ねていた、唇を宗から離して、俺は言い放つ!
「挨拶で、このぐらい出来ないような奴が、俺を手にいれようなんぞ、百万年早いわっっ!!この色惚け腹黒陰険眼鏡秘書っっ!!」
言い切った俺に、おそるおそる、誰かが声を掛ける。
「……あの…。お取り込み中申し訳ありませんが、お二人にお話したい事が……。」
振り替えると其処には、奈波さんが、立っていた。
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