第八章

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 「どうしたんですか?浅見さん?」  「ああ、先生!すみませんでした!奈波!村の花が!」  よほど驚いたのだろう。言っている事支離滅裂だ。  「落ち着け。どうしたんだよ?」  「と、ともかく!滝の所に来てくれ!!」  浅見さんの腕をぐいぐい引っ張る。  「先生、悪いが後で来てもらえますか!」  「はい。出発の準備出来次第、滝に行きます。」  神事も中止になり、今日帰る事になった。  「それじゃあ、又後で!」  奈波さんは、浅見さんに連れられて、部屋を出て行った。  「………さてと。」  俺は、寝室の部屋のフスマを開けた。  「狸。宗は?」  「ん?まだ正気に戻っとらんの。世程ショックだったんじゃなあ。」  うりゃっ。と言いながら狸がジャンプして、宗の頭を尻尾で叩く。  「……ひどい………。」  ぽつりと宗が言った。  「おっ。やっと戻って来たか。」  「……自分が天界に居た時は、¨お前が大きくなるまで待て¨とか言ってた癖に。………人界に来て随分、遊んでいらっしゃるようですね……?」  ゆらりと立ち上がる、宗の後ろに、どす黒いオーラが見えるのは気のせいか?  「あ、あの?法樹君?落ち着いてクダサイ?」  俺は、後退し始める。ヤバい!目がマジだ!  「落ち着いていますよ?……翠樹 薬嗣さん?」  がしっと肩を掴まれ、俺は逃げ場を失った。宗が俺の耳元で、低音の聞くもの全て魅了する声で囁いた。  「帰ったら、朝迄眠らせませんよ。……薬嗣。」  俺は情けなくも、腰を抜かして、へなへなと床に座りこんだ。………恐い!朝どころか、永遠に眠らさせてもらえない!絶対!!  「こりゃ。驚かせてどうする。」  狸が、俺と宗の間に割って入った。  「老師。」  宗が正気(?)に戻る 「それに、わざわざ帰らんでも、そこに大きなベットがあるじゃろ。」  ……狸、やはりいつか、毛皮にして売ってやる。
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