1547人が本棚に入れています
本棚に追加
「でもこれ、このままで大丈夫なのか?」
春に咲かない花迄咲いているという事は、自然界に影響与えないか?
¨大丈夫です。¨
………この声は。
「みずち?」
滝壺を覗くと、淡い光の中から、みずちが現われる。
「龍神?!」
「なに?映画撮影?」
「すごい!」
「何なの?!」
村の人達から、色々な声があがる。みずちがその声を聞いて、頭をぺこり、とさげて挨拶をする。
¨初めまして。みなさん。私は新しくこの村を、守護をさせていただく事になりました、みずちの白桜といいます。卵の時は沢山、祈りを捧げてくれて有難うございました。¨
「先生、あの龍……。」
いつの間にか、奈波さんが後ろに立っていた。
¨先生?春神のお名前ですか?¨
みずちが興味深そうに聞いてきた。
「…違うよ。俺の名前は、翠樹 薬嗣って言うんだ。」
¨みどり?春の象徴ですね!¨
……言われてみたらそうだ。字は違うが、みどりだな。
¨春神。花々は、今日一日で戻ります。安心してください。¨
又頭をぺこり、とさげて滝壺に消えて行った。わざわざ自己紹介しに来たんだな。律儀なみずちだ。
「……教授、知りませんよ……。」
「何が?」
「……ここに居るのは、ほぼ、村の人達全員ですよ。」
………そうだった。昨夜と同じ様に、みずちと会話していたが、今日は……俺は恐る恐る、後ろを振り向いた。……村人の皆さん、目をキラキラと輝かせていらっしゃる……。
「宗。」
「何です。」
「………俺を連れて、逃げてくれ。」
「……………無理です。」
宗は俺を見て、にっこり、きっぱり、言い放った。
最初のコメントを投稿しよう!