第二章

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 法樹宗が来てから、俺の生活は、一変した。講義の準備も、雑誌などのインタビューのセッティング、スケジュール管理。雑用を全てこなしてくれた上、お昼のお弁当まで作ってくれる。……実はそれだけではない。俺は、ベットから眠い目をこすり、そのまま一階に降りた。  「お早うございます。朝ご飯できてますよ。」  俺のよれよれ姿とは、対照的に朝からネクタイにワイシャツだ。その上にエプロンを付けている。  「…まだ慣れねぇな。」  そうなのだ、¨健康管理も秘書の務めですから。¨と言われ、何故か同居生活をおくる事になった。まあ、我が家は古いが、部屋は余っているので、自分の身の危険がなければ構わない。なにより、  「…うまいよなぁ。やっぱり」  赤だしの手作り豆腐とわかめの味噌汁をすすりながら、言った。同居を決めたのは、この料理のせいだ。  「ありがとうごさいます。」  にっこりと朝から、眩しい笑顔だ。俺は、こういう顔に弱いのか?  「そういえば、前から聞こうと思ってたんだが、その頭染めているのか?」  不思議な事に、法樹の耳の上辺りだけは、金色だった。そこ以外は、黒髪なのに。  「…自毛ですよ。」  ん?何か空気が、変わったぞ。
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