3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
夢の街という所がある。そこは不思議なもので満ち溢れているらしい。
そんなところへファンタジー絵本描きの私が行きたくないはずがないだ。
四方八方尽くして得た手がかりはどれもすべてガセ。
結局私は世界各国を回って探すことにした。
馬鹿らしいと思うかもしれないが、私にとっては真剣そのものなのだ。
今日も私は時代遅れのしたハーフコートを羽織い、外へ出た。
今日は何かがおかしかった。街の空気が違うのだ。
何だか暗い気分になった私は、気を取り直すべく近場の出だしの店に行った。
「何か食べる物は売ってないか?」
私がそう言うと店の主人らしい人が顔を上げた。
――そこにいたのは確かに人なのだが人の顔を成していないのだ。丁度人の頭に当たる部分が淡い色に発光しているのだ。
まさか。
私は周りを良く見渡した。
そこは私の知っている世界ではなかった。
街の特徴は、まず地面から不思議な光の粒子が浮いてきて、建物は土づくりの質素なものだが、それを彩るかのように獣人、花人、妖精、天使が街をにぎわせている。
私のような人間のタイプもいる。
まるで絵本の世界だ。
(もしかしてここが夢の街なのか?)
そんな馬鹿な。
私は自嘲した。
最初のコメントを投稿しよう!