夢の街

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何せついさっきまで私はイギリスのロンドンにいたのだ。 いきなり何も使わないでこんな所へ来れるはずがない。 そうだ。 これはきっと映画の撮影か何かだ。 私はエキストラと間違えられたのだ。 そう確信した私は、近場にいた人を捕まえ、 「ここは何の街ですか?」 と聞いた。 当然、 「イギリスのロンドンです。何を仰るのですか?」 と言われると思っていたのである。 だが。 「夢の街ですよ。綺麗な人族の方」 「・・・・そうですか」 私は目の前が暗くなった。 確かに。 確かにずっと来たかった街だ。だが行きどころか帰り方がわからないなんて・・。 私は途方に暮れた。 どうしたらよいのだろう? 私は考えたが結局一つの選択を取ることにした。 そう、こんな機会滅多にないのだ。 下手したら二度と訪れられないかも知れない。 なら目一杯この街を楽しもう。 楽しんでいるうちに帰れるかも知れない。 私は歩き始めた。 慣れてくると素晴らしい光景ばかりが目に付く。 私が恋い焦がれていた絵本のような街。 やわらかく美しい優しい世界。 私の夢見た街だ。 しばらく歩いてみると、あるものと遭遇した。 それは一匹の小さな猫。 まだ子猫のようで、真っ白な艶やかな毛並みに、右は緑、左は青い瞳で顔つきはきりっとしている。
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