205人が本棚に入れています
本棚に追加
うっそうと生い茂る、森の中にひっそりと立つ小さな家から、背伸びしながら現れた、一人の少女…
「いい天気!でもないか…森の中で、お日さま当たんないから洗濯物、乾かないですしねぇ」
淡く金色に輝く髪に、燃え盛る焔と深き海を思わせる、左右で色の違う瞳。漆黒のローブに、純白で、フードつきのマントを身にまとっている姿は神秘的な印象を抱かせる。
彼女は、セレーゼという。
片手には水晶のついた杖、もう片方に古代文字の本を持つ姿は俗にいう【魔法使い】そのものである。
それが彼女をこの森から、出ることを許さない原因だ。
─魔法は滅んだ─
外の世界で使ったらなら、悪用されるか、危険人物扱いされて殺されのがオチだろう。
まぁ…モンスターたちの巣くう【悪魔の森】の中で暮らしてることも、かなり危険なのだが…
「あーあ…街に行ってみたい…いっぱい人がいるんだろうな…森で緑だけって…目にはいいんだけど…飽きるっ!誰か遊びに来ないかなっ?」
そう考えて、無理だと分かる。モンスターの多い森に乗り込む命知らずは、いないだろう。
「あ〰!!暇だあ〰っ」
「グァアルルルっ!!」
奥から恐ろしい鳴き声がした。
最初のコメントを投稿しよう!