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「なんだ、なんだ~?」
獰猛な鳴き声を聞いても、驚きすらしない。彼女にとっては、日常茶飯事だからだ。
「4、5匹いるかな…?魔物の領地争い…じゃあなそうだし…暇だから行ってみますかね~」
手にしていた杖をくるりと回転させると、一瞬で箒に変わる。フワフワと浮かんだ箒のサドル部分に横に座ると声をかけた。
「シルフィ!行きますよ」
─シーン…
「《行きたくないから、嫌だ》ですって?ホントっ急いでるんだからワガママ言わないの!!」
─シーン…
それでも全く動こうとはしないシルフィに囁いた。
「あら?そういえば、今日の分の薪が底を尽きそうでしたねぇ…こんなところに丁度いい、木の棒が………」
─ビュンっ!
シルフィはガタガタ震えながら一気に急上昇した。
「そうそう、いい子!最初からいうことを聞いていればいいんですよ?」
下には一面、緑のじゅうたんが広がっている。普通の人ならば景色の変化には気がつかない。
「げっ…!ケルベロスが何かを追って…─あ゙あ゙ぁああああ!!なんてことをしやがってんですかねぇ!?あのバカ犬共がっ!!絶対ェぶっ殺す…!」
今だに震えるシルフィを小突き空を駆け抜ける
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