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「ふぅ…疲れた…なんでだろ?わたしも歳なのか…?たかが、高位魔法を使っただけなのに…まぁいいや…帰ろ」
よたよたと箒から降りて、歩き出したところをシルフィが呼び止める。
「《ご主人さまぁ~っ!》」
「なんですか?わたしは晩飯の材料を調達しなくちゃならんのですけどー?」
「《忘れてますよ!どうするんですか!?》」
「えっ…なにが…?」
「《あの人ですよ!バリアーをかけっぱなしじゃないですか!もぉ…!》」
「………!あ〰っ!!いっけね!すっかり忘れてた…」
横を見ると地面にへたりこんでいる人物が一人。
傍によってバリアーを解除する
「リレース!」
すっと壁が消えるが、中にいる人物は動かない。
「忘れてました!ごめんなさい」
「…ぇ…あ………」
頭を下げるセレーゼに、戸惑うばかりだ。
銀灰色の髪に、神秘的な青緑の双眼。顔は、職人が丹誠込めて創りあげた大理石の像のよう。人に会ったことのないセレーゼさえも、美しいと思った。
「大丈夫ですか?」
手を差し出しながら尋ねる。
「…えぇ…大丈夫です…」
一瞬、ためらったが弱々しく、セレーゼの手を握り返した。
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