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…えっ!?
その時、唇にあった違和感と廊下の赤みの違和感の正体が判りました。
庇ってくれた男性の唇と私の唇が重なって…
…
…
…
「…きゃぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
落ち着け落ち着け落ち着け私!
深呼吸深呼吸!!
咄嗟に唇を離した私は、まだ唇に残っていた柔らかい感触を忘れるが如く暴走する。
「はぁはぁ…で…やっぱりこのやけに赤みのあるのは…」
彼の後頭部から滴る血液が流れていた。
髪の色も血で真っ赤に染まっていた。
「どっ…どうしよう…」
唇の件はひとまず置いといて、
取り敢えず…
「今はこの人を助けるのが先ですね…」
唯一の救いはまだ息をしている事でした。
しかし私も庇われたといえど、落下時の衝撃で身体中に痛みが走っていて、男性を抱えて何処かに向かうなど出来ませんでした。
この間にも、男性の血は流れ続けている。
「…どうすれば…いいの…」
そんな時でした。
「大丈夫か、皇さん!」
私の叫び声を聞き付けて、駆け付けて来たらしい会長さん…じゃなくて林原先輩でした。
「そ…この人を…」
説明しようとした途端、意識が朦朧(もうろう)として…意識が途絶えました。
「皇さん!皇さ…うん?この体格に髪型…まさか…!?」
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