ACT2:似て非なる相棒

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「そういや紫苑…僕の眼鏡は何処にあるのかな?」 心配そうに紫苑先輩に尋ねた。 「大丈夫、壊れてないから。 その前に髪型崩れてるぞ」 指摘された途端、咄嗟に髪の毛を触る秀先輩。 「これぐらいは大丈夫。時間も遅いので早く帰宅路に入りましょうか」 聞かれた時に、視線が合った。 「えっ、あっ、はっ、ぁい…わかっ、判りまちた!」 噛みまくりだなぁ…私。 ……… 「さよなら、媛槻先生」 「今日は世話になりました」 「お休み為さい、媛槻先生」 軽く私達からの挨拶を終えた後、 「あんた達、間違っても規則正しくない不埒な行動をしないようにな!」 「ちょ、媛さんそりゃねぇよ!」 紫苑先輩の全否定に、 「ははは…冗談は辞めてもらいたいです…」 秀先輩の苦笑。 ここは私も言い返して良いのかな… 「冗談は紫苑先輩だけで充分ですから~!」 少し冗談を言ってみる。 「オイオイ、まさか騙した事を根に持ってるのか一年?」 少し言える事は… 「当たり前じゃないですか!あんな騙しは反則ですよ!!当分は先輩と言えど─」 あっ 視線が合った。 身体の内側から鼓動を感じる。 「御免なさい!」 「うぉっ!?」 見事に決まりましたグーパンチ。 「うっかり手が…」 視線を合わせずにぼそぼそと呟いておいた。 そうだ。 「仮入部の件はなかったことにしておいて下さい」 「唐突ですね」 「いきなりだなおい」 苦笑している秀先輩と、唐突な台詞に動転している紫苑先輩の表情を伺ってから、 「今回の件も兼ねて、不精ながら皇魅遙は生徒会執行部に本入部することを誓います!」 流石に庇われた分、何か恩返しをしたいと思ったから言い切れた言葉でした。 「ほぅ…何なら明日はかわいが─」 「紫苑」 秀先輩が紫苑先輩に向かって、 「取り敢えず帰宅次第、説教ですからね」 笑みから殺意が漂っていました。 「ははは…私の家は此方の方角です」 先導する魅遙。 それに付いていく双子。 秀は紫苑の肩を借りながら歩み始めた。 「ところで、なんで変装にはまったんですか?」 「それはだな─」 そんな会話をしていた最中… ふと、秀が二人に気付かれない程度に囁く… 「なんだろう…この唇に残る感触は…?」 彼はあの時の記憶がないままで、その残りし感触が何かを判らずに居た…
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