9人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「もっ…萌ってっ…」
どうやら魅遙にも聴こえたようで、苦笑しているだけの様にも見えたが、引いてるのも明らかのようだ。
若干背後に何かが、明らか見てはいけない様な何かが見えた気がする。
「冗談通じない人達やの」
紫苑のお手上げ姿を見て、
「瞳が冗談を仰有(おっしゃ)ってることの様に窺(うかが)えませんが?」
「冗談も程々の内容にして下さいね、私もその手の冗談には耳を貸しませんので」
秀も魅遙も、顔は笑ってはいたが、心から笑ってはいない。台詞が刺々しく、完全に壁らしき物を発している。
冷た過ぎるその眼差しが紫苑に容赦無く突き刺さる。
「厳しいな…」
一人で自滅した紫苑を余所に…
「あっ…あれが私の家です」
白倉学院から徒歩10分くらいの距離だろうか、皇家に辿り着いた。
「御嬢様…でしたか」
「祖父の遺産でして…はい」
目の前には豪邸と呼べる程の敷地と、和風家屋が建っていた。
最初のコメントを投稿しよう!