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─皇邸:玄関前─
秀が腕時計の時間を見て、
「それでは見送りも終えので…時間も遅いですし、僕達は帰りますか」
それに合わせて、
「ほんじゃまぁ、今日はお疲れさん!」
紫苑が手を振り上げた。
双子が振り返り、帰宅路に戻ろうとした時だった。
そういえば今日は迷惑を掛けたし…そうですね…
「あのっ…少しお茶を御馳走したいんですが…本日、御迷惑を掛けた謝罪の気持ち代わりに」
お茶か…とゆう顔をした紫苑と、
「…御茶…茶道を?」
問い質してきた秀。
「はい、言わば家訓です。代々必ず習わされているので…」
それを聴いた秀が、そわそわしている。
あっ…発作が起きたか…
あれ…?秀先輩どうしたんだろう…?
「あぁ、兄貴はな…」
様子の可笑しい秀を見兼ねた紫苑先輩が、やれやれと言いたそうな態度で、
「それじゃあ、一杯御馳走になるわ」
紫苑のその返事の後に、秀が振り返り、
「是非とも!御好意に甘えますね」
何やら楽しそうな秀先輩でしたが…いつの間にか、紫苑先輩が隣りに居ました。
「あのな…兄貴は和を重んずる奴でな…そうゆうのになるとな…どうも落ち着かんのだよ。所謂和好きと言うべきか…婆ちゃんに似てね」
「御祖母様ですか?」
魅遙が尋ねる。
「あぁ、あの銀髪も婆ちゃん譲りだよ。婆ちゃんの血を受け継いでる親父は、あの銀髪にはならなかったけど…兄貴は、たまたま婆ちゃんの血を色濃く受け継いでるのは確かだよ」
あの髪は御祖母様の遺伝子の影響でしたか…
「…楽しみですね…」
明らか目の色が変わっていた秀先輩。
その様子を傍から見つつ、私と紫苑先輩は玄関まで歩いて来ました…
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