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私は一段一段と階段を登り、桜並木を見渡せる屋上へと辿り着きました。
─白倉学院:A棟屋上
…と言っても、桜並木は既に緑に色を染め替えていますが…
前の学校の屋上は行く事が禁じられていたので、こちらに来た時に直ぐに出向いた記憶が今も鮮明に覚えています。
その時の景色が忘れられなくて、私はその時以来、此所で昼休みを過ごしています。
「先に来たのは良いけど…いつ頃来るかな…菜穂先生」
私は先生から、
「二人の時は名前で呼んでね」
と言われてます。
果たして教師がそれを認めて良いのやらと思ってますが…
私は鉄格子越しに風景を眺め、時間の過ぎるのを忘れました。
此所は高地にある学校で、この屋上からは桜並木の他に海沿いでもあるので、海も見渡せる場所で…私自身はまだですが、恐らく夜景は絶景と思います。
程よく密集した住宅の街の灯が綺麗かなと憶測ではありますが…そんな感じがします。
景色を眺める事恐らく10分くらい過ぎた頃合でしょう。
階段に続く扉が開きました。
「待ったかな?魅遙ちゃん」
「全く持って。菜穂先生遅かったですね!」
ちょっと怒ってみる。
「御免為さい、先程生徒会の会長と話をしててね」
篠瀬先生は生徒会執行部の顧問を受け持っている人です。
「会長さんですか?」
「ええ、何でも…今新一年の勧誘に必死なのよ…今年の二年に誰も生徒会居ないからね」
「つまり、人手不足なんですね」
あれ…なんだろう
すっごく嫌な悪寒がひしひしと…
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