ACT1:意気阻喪の最中

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その悪寒の原因が、目の前に居た菜穂先生の口から紡ぎ出された。 「魅遙ちゃん、生徒会役員にならない?」 「例え菜穂先生でも、その誘いは如何と思いますね」 別に生徒会に入って困る事はないとは思うけど、 「当然よねぇ…その反応は」 「人の役立つならむしろ喜んで引き受けるのですけど…」 「その言い方は引っ掛かるわねぇ…けど?」 「先生、私は…人見知りが激しい事と、これでも…」 言い掛けたその時だった。 「菜穂先生、捜しましたよ!」 いつの間に居たのか判らないけど、そこに居たのは…先程から噂にしていた例の会長でした。 髪型は男子にしては長く、後ろで結っていて、遺伝子で変わったらしい髪の毛の色は銀に近く、結っている髪を梳くと神秘的な感じがする気もあるような外見。視力は悪いらしく、眼鏡を掛けている。体型はすらりと細く性格は温厚で、女子生徒には人気があるらしいけど… 校章バッチの色は青、今は二年を表しています。 ちなみに一年の私は緑で、三年が赤です。 「遅かったですね。今は見ての通り…私がこの魅遙ちゃんに、生徒会に勧誘をしている途中ですよ」 やや呆れた口調で菜穂先生が会長に問い詰める。 「それは判りますけど…此処迄しなくても良いのでは?」 なんか口論勃発しそうな勢いですね… 「会長さんでしたね…気にしないで良いで─」 会長と顔を合わせた瞬間、言い掛けた言葉が途切れた。 そうだった… 会長さんは… 言い掛けた言葉の続きがぽっかり脳内から消えた。 「大丈夫かい?」 会長は私に聴いてきた。 「きっ、気遣いは有難いんでっ、ですが…」 いつもの発作のようなコレが起きる。 「あっ…そういや魅遙ちゃんって…」 菜穂先生はようやく思い出してくれたようです。 「わっ…私は…」 言葉が続かない。 その様子を見て、菜穂先生が説明する。 「あのね秀君、彼女…人見知りとね、異性に対して身体が拒否をしているの。つまり簡単に言うと、男嫌いね。」 「えっ…?」 会長さんがこちらの顔を覗き込む。 「ひゃあっ!?」 思わず反応した私。 妙に甲高かったその声に二人が私を凝視する。 「魅遙ちゃん、可愛らしい声ね」 菜穂先生がからかってきましたね。 一方、会長さんの方は… 「確かにこれは男嫌いの位置ですね…だから先程の話していたんですね」 「生徒会に居る生徒は皆良い子ばかりだからね。…慣れない事には、前には進めないからね」
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