9人が本棚に入れています
本棚に追加
「危ない!」
誰かが私の腕を掴んだ。
声は男の人だった。
しかし…
私の倒れ掛けていた身体は、既に腕で支えられて助かるような位置ではなく…ましてや、男性自身の方には片手で自分の身体を支えられる程の掴む場所が無かった。
やむなく重力に負け、腕を掴んでくれた男性ごと階段に落下しかけた。
「………っ、我慢して下さい!」
そう言った途端、私に抱き付き…私を庇うようにその人は私と位置を変えて、その人の背中が階段側になるように回転し─
鈍い音が何度か聞こえるも、私自身も何がなんだか判らずじまいになる程パニックになっていました…
どれ程時間が過ぎたでしょうか…
気が付くと、視界にやや夕焼けらしい赤みの掛かった陽射が廊下を照らしているのが見えた…10分の1くらいの範囲にだけ。
…何が起きたんだっけ…
確か…生徒会室に向かおうとして…
後ろから同級生にぶつかられて…階段から落ちそうになっ…
そうだ。
私は落ちたんだ。
道理で身体のあちこちが痛い訳です。
しかし動けない訳じゃない…
良く無事だったものです。
ふと、唇にある先程からの違和感がある事に気付く。
まだ視界はぼやけている。
恐らくまだ落ちた時の衝撃が残っているのでしょうか。それに身体の至るところが痛いせいで、触れてるだけじゃ何かが判らない。
しかしある事に気付いた。
10分の1くらいに見えてた廊下の色が、
夕陽で染められているにしてはヤケに赤い事に。
嫌な予感がした。
恐る恐るその赤い床を触る。
硬い床に触れる前に、何か水に触ったかのような感触があった…
それを触った瞬間、今までぼやけていた視界がくっきりと見えるようになりました…
最初のコメントを投稿しよう!