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  私は彼女の死から立ち直れずにいた…   幾度日が落ち 月が昇り 季節が変わろうとも泣き続けていた…   ある日久々に窓を開けてみた 花壇に植えていた花が気になったからだ   花は全て枯れ 見るも無残だった   しかし一輪だけ咲き誇っている花がいた   その花は陽光を浴び 美しく咲いている   その花は彼女と同じ名前の花 私と彼女が一番好きだった花   その花は鈴蘭 彼女はこの花の様に美しく 健気な人だった   花を見ていたら彼女の顔が浮かんできた 彼女と過ごした日々を思い出した 涙が目に浮かんできた   だがその涙は悲しみの涙ではなかった 何なのかは解らない   だが私の顔は自然に綻んでいた   私は思う この花は彼女からの贈り物なのだと 彼女は私が悲しみに暮れているのが耐えられなかったのだろう   それでこの花を贈り 「もう悲しまないで」 と伝えたかったのだと…   私は彼女からの贈り物を部屋に飾り でかけることにした   彼女からの贈り物に報いるため 彼女に「私は生きるよ」と伝えるために
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