Δ～デルタ～：復活の八頭ノ大蛇

初動

マガジンから毒針が抜けない事が分かると、毒針を出したまま、少年を突き殺そうと近付いて行く。
だが少年も黙ってはいない。
Ｍ４Ａ１のチャンパーに残っている最後の一発を、巨大なスズメバチの腹に撃ち込む。
銃声と共に、薬莢がエジェクションポートから跳ね上がり、それと同時にボルトが後退したままロックした。
巨大なスズメバチは、その衝撃で２、３０ｃｍほど後方へ下がった。
少年はすぐさま弾切れになったＭ４Ａ１－Ｇを床に置くと、レッグホルスターから大型ハンドガン、ＳＯＣＯＭ.Ｍｋ２３を引抜いた。
そしてＭｋ２３に標準装備されているＬ.Ａ.Ｍ（ライト・アタッチメント・モジュール）の赤いレーザーサイトが、すぐに巨大なスズメバチの頭を捕えた。
その瞬間、Ｍｋ２３から３発の銃声と閃光が放たれた。
Ｍｋ２３から放たれたフルメタル・ジャケットにコーティングされた４５口径の弾丸は、巨大なスズメバチの頭部をいとも簡単に貫通し、廊下の壁に穴を開けた。
巨大なスズメバチは、体液を撒散らしながら力無く床に落ち、そのまま動かなくなった。
少年は立ち上がり、周囲を警戒する。
しかし、巨大なスズメバチのバイク並の羽音や、その羽から生み出される風は、もう無かった。